■■オーデュボンの祈り(Amazonへ)■■
「祈る」という言葉がわりとすきだ。
祈るという行為は無償であり、同時に無力だ。
けれどそのまっすぐで一途な想いのなかに、あたたかで確かな光を感じる。
「人が祈っていいのは、自分の力が本当に及ばなくなったときだけだ」
山下和美さんが『天才柳沢教授の生活』のなかでそう書いている。こういうシンプルな潔さがとてもすきだ。
それはほんとうにその通りで、結局のところ「祈り」は自己満足に過ぎないのかもしれない。
祈ってもなにも変わらない。祈ることでは願いはかなわない。
けれど人間は祈らずにいられないときがたぶんある。
その祈りのなかに、自分ではない誰か(何か)に対する静かであたたかな愛情があると思いたい。
なぜこんなことを書いたかというと、『オーデュボンの祈り』という本を読んだからだ。
作者は伊坂幸太郎という人で、少し前に彼が発表した『重力ピエロ』という作品は、しばらく話題になっていた。
本屋に平積みされた『重力ピエロ』の帯には、編集者をして「小説、まだまだいけるじゃん!」と叫ばせたという本当かどうかすこぶる怪しいエピソードが書かれていた。
この小説は、実際に何か賞を取っていたような気がするが、私としては帯に大きく書かれた「小説、まだまだいけるじゃん!」が忘れられず、いつか読もうと思った作家だったのだ。
続きを読む(微妙にネタバレ)

