
■■椰子・椰子■■
川上弘美さんの『椰子・椰子』(やし・やし)を読む。
薄いのとイラストが多いのとで一日で読めてしまった。
この本は、ある女性の日記形式になっている。
彼女のすごす毎日には、ほんの少し奇妙な出来事が起こる。
しかし彼女はそんな毎日を、全く自分のペースを崩すことなくきっちりと生きている。
出かけたいときには出かける。綺麗にたたんだ子供を箪笥にしまって。
そういった奇妙でとぼけた世界が、実に自然に描かれているので読んでいるほうはちっとも違和感を感じない。
むしろ、日々少しだけ奇妙な出来事が起こるこの世界にいつのまにかすっかりなじんでしまうのである。
どうやら川上弘美さんはとても綺麗に嘘をつく人らしい。
こういう人がおばあちゃんになると、
「今日、そこでもぐらに会ったのよ。
一緒に写真撮ってもらっちゃったわ。
もぐらってあんたたちと同じくらいの背の高さなんだねえ。」
なんて涼しい顔をして子供たちに言ったりするのだ。
そして子供たちはいちいち翻弄される。
なんとなくもぐらを探してまわってみたり。
なんて素敵なおばあちゃんだろう。
私もそんなおばあちゃんになりたい。きっとすごく楽しいにちがいない。

