■■八月の鯨■■
久しぶりに『八月の鯨』を見る。
ここ10年ずっと、私の中のベスト1の座をキープしている映画である。
実家にいた頃から、それはもう何回も見ているが、結婚してからは一度も見ていなかった。ビデオテープを実家においてきてしまったからである。
久しぶりに見た『八月の鯨』は、なにひとつ色あせていなかった。
平均年齢80歳以上の人間がたった5人しか出てこないし、とくに大した出来事がおこるわけでもない。
しかし私がこの映画に飽きるということは決してない。
それどころか、美しい映像がゆっくりと、シフォンのように私に降ってくる。見るたびに必ず降ってくる。
それは私を優しく柔らかく包んでくれるけれど、同時に心をきゅっとしめつけていく。
失われたものへの憧憬。
その憧憬とともに、きちんと生きていくこと。
それを思い知らせるために。

