■■小説以外■■
恩田陸『小説以外』を読んでいる。エッセイである。
私はふだん、ほとんどといっていいほどエッセイを読まない。
教科書的なものを読むときは別として、文章を読むという行為は、そこから自分で考え、結論を出すことにも喜びがあると思っている。
結論がハッキリ書かれているエッセイは、なんだかつまらないのである。
知識を得るにはあいまいで、自分で考えるには明快すぎるのだ。
それでも時々こうして手に取ることもある。
たいていは熱心に読んでいる作家が出したエッセイである。
時代を超え、歴史に刻まれるのは書いた人間の名前ではなく、文章(物語)そのものだ。
と、恩田さんも『小説以外』のなかで書いており、それはまったくその通りだと思うのだが、それでも素晴らしい作品を創り出した人間に対する興味は尽きない。そのうえ、書き手の文章力に絶対の信頼があるから、安心して読める。
このエッセイのなかで特に印象に残ったのは「MPに捧げるユージニア」という章である。
恩田さんはこのMP、ミシェル・ぺトルチアーニというミュージシャンをこよなく愛している。
『 同世代に好きなミュージシャンがいるというのは幸せなことだ。
他にも好きなミュージシャンはたくさんいるが、
生み出す全てのフレーズを愛することができたのは
今までのところ彼しかいない 』
この文章を読んでいて、ピロウズの山中さわお氏を思い出した。
私にとって、生み出す全てを愛することができるミュージシャンは、今のところ彼しかいない。

