2007年01月29日

となり町戦争

となり町戦争
■■となり町戦争■■

『となり町戦争』を読む。
出版された当時から気にはなっていたのだが、きっかけがつかめずに今に至る。
しかし今回、文庫版が発売され、映画化が決定し(←また瑛太が出ている。彼はほんとうにものすごく忙しいんじゃないだろうか)、雑誌で『失われた町』(←同じ作家の新作)が大絶賛されていたので、このウェーブに乗ってみることにした。

ある日、町の広報に「となり町との戦争のお知らせ」という記事が掲載される。期間は6ヶ月。
一見普通の暮らしが続く中、広報に掲載される戦死者の数はどんどん増えていく。
紹介文には「見えない戦争を描いた衝撃作」とあるが、ほんとうにそんな雰囲気だった。
主人公はそれなりにこの戦争にかかわっていくのだが、それでもこの戦争のリアルはつかめない。

対照的に、この戦争を業務として遂行する町役場の様子がとてもリアルだ。
すべてがきちんとマニュアル化され、それに従って行動する。
何をするにもまず書類。そして印鑑。
「お役所的」なこうしたルールは滑稽だが笑えない。これは戦争なのだ。

業務を遂行するためのマニュアルはあまりにも厳密で完全である。
「戦争」という特別な業務だからなおさらかもしれないが、その完全さは息苦しく、その厳密さはときに非人間的であるとさえ思う。
けれど、おそらく役所の人には、こうした厳密で完全なルールを守り、遂行する義務があるのだ。
どんな例外も認めない。認めたら彼らの守るべき世界は破綻する。

結局「見えない戦争」の裏にある「お役所」の葛藤と悲哀、そういうものに目が向いてしまったのであった。
posted by 飼い主M at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする