
■■失われた町■■
『失われた町』を読む。
三崎亜紀氏は、『となり町戦争』に続いて2冊目である。
実は最初に読みたいと思ったのはこの作品であったが、せっかくなのでデビュー作『となり町戦争』から読むことにしたのだ。
ものごとには順番というものがある。
となると、次は『バスジャック』(←2作目)なのではという話になるが、そこはそれ、オトナの事情というやつである(←勝手)。
『失われた町』は、タイトルのとおり、町が失われる話だ。
もう少し正確にいうなら、失われるのは町そのものではなく、そこに住む人々である。
30年に1度、町から人が消滅する。
どの町が失われるのかはわからない。
町の人たちは、わかっていながら、なぜか消滅に抗うことができない。
けれど町はすべてを奪う。とても、とても、理不尽に。
失われるのはそこに住む人だけではない。
失われた町に関わるすべての人から、声を、視力を、記憶を、そして命を奪っていく。
私は人が死ぬ話が苦手だ。
どのように描いたとしても、悲しいに決まっている。
そしてそれはなんというか、ズルイ、と思ってしまうのだ。
「失われる」というのは限りなく死に近い。
だから悲しいに決まっている。泣けるに決まっている。
案の定、何度も泣かされた。
でも私はこの物語が好きだ。
希望を信じる強い心と目的へと向かう揺るぎない意志、
この物語は、絶望の中にありながら、そういうものに溢れている。
結局そのおかげで、さらにたくさん泣かされたのであった。

