
■■モンスターフルーツの熟れる時■■
小林恭二さんという作家がいる。
私のなかで、J・アーヴィング、P・オースターと並ぶ三大巨匠だ。
そんな小林さんの作品『モンスターフルーツの熟れる時』は連作短編集である。
小さな子供がひとり、またひとりとモンスターフルーツという得体の知れない果実に成熟していく。そして世界は――
というような話だったと思う。
実はずいぶん昔に読んだので、詳しい筋は忘れてしまった(←オイ)。
けれど、読んだ直後の気持ちはいまだに鮮明に覚えている。
なんという想像力。そして、なんという創造力。
この本を読む頃にはすでに小林恭二という作家に馴染んでいたはずなのに、それでも読み終わったときは圧倒されていた。
平凡に見えた世界が、そこでひそやかに生まれた小さな存在が、少しずつ、少しずつ変わっていく。
その変化には、それぞれわりときちんと理由がある。合理的だ。にも関わらず、その理の展開する先には見たことのない世界が広がっているのだ。
荒唐無稽な世界へ、理性をもって導く。
これこそまさに小林さんの真骨頂だと思う。
精緻な理論に引き込まれ辿りついた、広大な想像力の世界に、読者はただただ圧倒されるのだ。
こういう才能と同世代に生きられることを、とても、とても幸せに思う。

