2007年11月10日

太陽の塔

太陽の塔

『太陽の塔』を読む。

『夜は短し歩けよ乙女』の森見登美彦氏のデビュー作である。
『夜は短し』が思いのほか面白かったので、引き続き手に取ってみた。

主人公は休学中の大学五回生。
貧乏で男汁に溢れた学生生活を送っていたが、あるとき奇跡的に彼女ができる。
しかしその奇跡も長く続かず、主人公は振られてしまう。
難しい、というかややこしい性格の主人公は、その事実をなかなか受け入れることができず、
再び戻ってきた男汁生活のなか、日々妄想とストーカー行為に明け暮れている。
と書くと、なんだかヤバイ話のような気がするが、実際ほんとうにヤバイと感じるときもある(←オイ)。
デビュー作ということもあってか、『夜は短し』よりもずいぶんとトンガっている、というか濃ゆいのである。
『夜は短し』の場合、女性を中心に据えることで、森見氏特有の濃ゆさがうまく中和されていたのかもしれない。
正直女性にはちょっと読みづらいかとも思うが、それでもがんばって読み進めていけば、最終的にはしんみりと切ない気持ちにさせられる。

失恋は辛い。自分ではどうにもできない。その事実の前では、皆とても無力だ。
けれどいつかは失恋を受け入れ、再び前を向かなくてはならない。
それには時間も気力も体力もたくさんたくさん必要である。

この主人公もたくさんの時間とたくさんの気力とたくさんの体力を使って、不器用にバタバタしながら、ゆるやかに失恋していく。
どんなに考えても、どんなに走り回っても、彼女はもう戻らない。
それを彼はゆっくりと、ほんとうに受け入れていく。その過程は読んでいて切なくなる。

きっとみんなそれぞれのやり方で四苦八苦しながら、次の恋へ向かうのだ。この主人公と同じように。

余談だが、森見登美彦氏のブログはとても面白い。
なかでも森見氏がウルトラに憧れている本上まなみさんに初めて出会ったときの話はいまだお気に入りで何度も読み返し、そのたびに笑わせてもらっている(←すべらない話?)。
posted by 飼い主M at 12:55| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする