
『約束』
石田衣良氏はそれほど得意ではないが、この本は読んでいて何度も泣きそうになる。
大切な人が、目の前で殺されたり駄目になってしまったり、そういう深い喪失と哀しみのなかにいる人たちに、奇跡ともいえる救いが訪れる。そういう話を集めた短編集である。
主人公はみな突然の理不尽な不幸に翻弄され、その姿は見ているだけでとてもつらい。
そのうえ、この本が提示する解決はあまりにも都合が良すぎる、と個人的には思う。
それでもすべての主人公が最後にそれなりに救われるという事実には、やはり心が安まる。
現実はこんなにはうまくいかない。それはもう間違いなく。
けれど、どんなに嘘臭くてもいいから、こういう奇跡が少しでも多くの人に訪れることを願わずにはいられない。



