電車のなかで、子供の集団に出くわした。幼稚園くらいの子供たちだ。
引率の先生の会話から察するに、これから動物園に行くらしい。
向かい合った4人がけの席にちまちまと6人の男の子が座っている。
みんな微妙な興奮を抱えて、落ち着かない様子がなんだかおかしい。
先生「動物園でなにがみたい?」
子供「んー、俺パンダ!」
子供「あっ!パンダパンダ!!」
子供「パンダパンダ!!」
子供「……ぱんだ?」(←乗り遅れてる)
子供「ぎゃー」
先生「しー。静かに」
先生「動物園にはゾウもいるよ」
子供「えっ、ゾウいるの?!」
子供「おーっ、ゾウだー!!」
子供「パンダパンダ!!」(←間違ってる)
子供「ぎゃー」
先生「しー。静かに」
引率の先生というのは、子供達を騒がせないと同時にテンションを上げるというとても難しい役目を担っているらしく、なんだか大変そうである。
しかし、そんななかでもとくに笑えたのは、彼らの持っているハンカチであった。
おそらくそういう風に指示されているのだと思うけれど、みんなズボンの前ポケットにハンカチをしまっている。
そして、それは電車に乗っている間は出してはいけないことになっている(と思う)。
しかし、彼らのポケットからは次々とハンカチが出てくるのだ。
しばたくんは、ピカチュウハンカチがたいそうご自慢らしく、先生の隙をみては取り出して皆に見せている。
そのたびに先生が
「はんかち、しまいなさい」
とたしなめる。
しばたくんの隣のはたなかくんは、タオル素材のハンカチを持ってきていたのだが、ご存知のとおりタオルハンカチというのは通常のハンカチと比べ物にならないほど体積があり、小さな幼稚園児であるはたなかくんのポケットに納まるはずもなかった。ちょっと動いただけでぼろりとポケットから出てきてしまう。
異様に膨れ上がっているはたなかくんのポケットは、先生も気になるらしく
「あっ、はんかちおちたよ」
といちいち知らせていた。
はたなかくんは、しばたくんと違ってハンカチを出したいわけではないので、その都度一生懸命しまおうとする。
結局半分も入らないのだが、その様子がなんだかいじらしい。
はたなかくんの向かいに座っているきばくんのハンカチは、幸いピカチュウでもタオル素材でもなかったが、きばくん本人に問題があった。
とにかくごろごろと転がる子供で、そのたびにポケットからハンカチが落ちるのだ。
先生は、はたなかくんとは別の意味で彼をロックオンしているらしく、彼がごろっと動くたびに、落ちたハンカチをびしっと指差し
「はんかち!」
と言う。
そのたびにきばくんは一瞬不服そうな顔をして転がるのをやめ、おざなりにハンカチをしまう。
ハンカチ出現サイクルとしては、
きばくん、しばたくん、きばくん、はたなかくん、その他(←まだいる)、きばくん、しばたくん……
といったところであった。
きばくんについては、ごろごろ転がることよりも、ハンカチのしまい方に問題があると思うのだが、先生もそこまで頭が回らないのだろう。なにせハンカチを落とす子供はきばくんだけではないのだ。
見ている私はたいそう面白かったけど、電車に乗っている間中、先生はハンカチのことしか考えられなかったと思うと不憫な気がした。
子供のテンションをコントロールし、なおかつハンカチにも気を配る。先生もなかなか大変である。
2007年01月10日
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