2007年10月05日

ぶらんこ乗り

ぶらんこ乗り

あるところに、空中ぶらんこに住む夫婦がいた。
たかいたかい場所にあるそれぞれのぶらんこに乗って、ゆらゆら揺れながら暮らしていた。
どうしてかはわからない。ふたりはとにかくそういう運命だった。
あるときふたりは手を握ろうとした。
ぶらんこに勢いをつけて、タイミングよく手を握りあう。力強く、しっかりと。
妻がいう。
「わたしたち、ずっと手をつなぎつづけることはできませんのね」
夫はこたえる。
「ぶらんこ乗りだからな。ずっと揺れつづけるのが運命さ。
 けれどどうだい、こうしてほんの少しでも、おたがいに命がけで手をつなげるのは、ほかでもない、素敵なこととおもうんだよ」

いしいしんじの『ぶらんこ乗り』は、つまりそういう作品だった。
ちなみに上の話は作中で弟が書いた「おはなし」として登場する。

あちら側とこちら側を揺れ動く「私」の弟。
ずっとこちら側にとどまっていられない絶望と、かならずこちら側へ戻ってくるという希望をあわせ持っている世界一のぶらんこ乗り。
だから弟はきっと帰ってくるのだ。ぶらんこがしかるべき引力にのって、あちら側から戻ってくるように。

またしても電車内で読んでしまい、涙を抑えるのに苦労したのであった。
posted by 飼い主M at 22:51| Comment(3) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これも読みたい〜でも、なんだか表紙が見たことある?
と思ったら、やはり未読本の山の中にありましたよ・・・。

下記事のコーヒー、近くにお店があってうらやましいです〜。
私は数年前、豆でも淹れられるコーヒーメーカーを壊しました。
ここ数年、夏は水出しアイスコーヒーを愛飲してます。
そろそろホットが美味しい季節になりましたね。
Posted by pon at 2007年10月08日 21:35
久しぶりに覗いたら再開していてビックリ。

写真すごくオサレになりましたねーーー。素敵素敵。
私も以前Mさんが言っていた「オサレっぽく写真を撮る構図」参考にさせて頂いています(笑)

実はMさんとは読む本の傾向が全く違うんです。
だから紹介される本はほとんど自分では手に取らないだろうなーという本ばかりで・・・。
なのでかえっていい参考になります。
これを機に違う分野にも進出出来る・・・かも?!
Posted by nau at 2007年10月09日 00:52
■■ponさん
水出しコーヒー!
実はウチにもソレ用の機器があるのですが
なんだかとてもオオゴトなので、
未だ箱に入って眠ったままです。
水出しコーヒー美味しそうなんですけどね……。
来年の夏にはがんばって引っ張り出してみます!

■■nauさん
見つかってしまいました。いやぁお恥ずかしい。
写真もつい最近ごそごそし始めたばっかりで
夫になんやかやと言われております。
nauさんはどんな本を読むんでしょうか?
またよかったら教えてくださいね〜。
Posted by 飼い主M at 2007年10月09日 23:40
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