
ずいぶん前のことになるが、書評サイトを巡っていてある本を見つけた。
書店を訪れた際、手にとってみる。
そして、帯に書かれたこの文章にすっかり魅了されてしまう。
『人は死ぬものなのだと知ったのは、カレーライスを食べた後だった。
その死が僕とカレーを結びつけ、もう一つの死が背中を押した。
長く奇妙なその旅に、僕の平穏な生活は丸ごとのみ込まれていった。
それでも僕は、カレーライスが大好きだ。
カレーライスを作るとき、無闇やたらと幸せな気分になることがある。
僕らみんなが、何か大きなものに包まれているような気がするのだ』
この本は間違いなくニオう。カレーのニオイではなく。
わけのわからない確信を持って、その場で購入する。
その本の名は『カレーライフ』
カレーを巡って世界中を飛び回る、とても、とても長い物語である。
今では文庫も出ているが、当時はハードカバーしか出版されておらず、分厚い本の中には二段組で文字がギッシリ詰まっていた。長い物語が好きな私は、それだけでもずいぶんワクワクしたことをよく覚えている。
内容も期待通り、読み応えがあって、いろんな人のいろんな物語が混ぜ込まれ、それらすべてをのみ込んで、結末へ向かって熟成されていく。じっくり煮込まれたカレーが美味しさを増していくように。
読み終わると、当然のことながらカレーライスがものすごく食べたくなる。この日の夕食は、もちろんカレーライスである。
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今はまだ同じ本を読み返したいとは思わない。それはとても勿体無いことのような気がしている。
しかしいつか私が年老いて、もう好きな本だけを読んでいたいと望む時が来るかもしれない。
そんなときのために『いつか読み返したい本リスト』というのを勝手に作成しているのだが、『カレーライフ』はそのリストの中にしっかりと名を連ねている。

