『リレキショ』
以前からなんとなく目を引くタイトルで気にはなっていたが、近頃ようやく読むことができた。
さて『リレキショ』。
「姉さん」と一緒に暮らす主人公「半沢良」は、深夜のガソリンスタンドでアルバイトを始める。
職場の先輩、加藤さんは「半沢良」に親切に仕事を教えてくれる。
仕事にも慣れてきたころ、「半沢良」はある少女から不思議な手紙をもらう。
「姉さん」と暮らす家には、姉さんの親友である山崎さんが時々遊びにくる。
「半沢良」と「姉さん」、「半沢良」と加藤さん、「半沢良」と少女、「半沢良」と山崎さん、「半沢良」をめぐる人間関係が少しずつできあがっていき、「半沢良」という人間が徐々に形を持ち始める――。
とまあそんな話である。
冒頭から主人公は「半沢良」という名前ではなく「姉さん」とも血縁関係にないらしい、ということがなんとなく察せられ、そしてそのまま「半沢良」は最後までとてもあいまいな存在として描かれている。
物語に明快なオチと解決を求めてしまう私としては、なんとなくがっかりしたのだが、読み終えてしばらくすると「まぁわかんなくてもいいか」とも思えてきた。
シャツにていねいにアイロンをかけてもらった「姉さん」にとっても、夜中に自家製梅酒を一緒に飲んだ山崎さんにとっても、深夜に奇妙な交歓を続ける少女にとっても「半沢良」は確かな存在としてそこに存在する。それでいいのではなないか、という気がしてきたのである。
結局のところ、人は本名や戸籍によってではなく、周囲との関係を築くことで成立する生き物なのかもしれない。

